勉強しようとしないのはやる気が起きないだけではない?


55歳、女性、障害者就労支援施設利用者です。夫は息子が12歳の時に病死、私の実の両親と現在18歳の息子と4人暮らしです。

になってしまい、塾にもなかなか行けない状態に。。

息子は中学3年の時から不登校になり、高校も、入学直後のゴールデンウイーク明けから登校できなくなりました。息子の中学卒業前から私は体調を崩してしまい、3か月の入院を余儀なくされました。その間学校に行けずにいた息子は、全日制は無理だから通信制の高校に進みたいという希望を強く持ち、結局私が退院した後、2学期から公立高校の通信制に籍を置くことにしたのです。息子の通った通信制高校は、基本的に日曜に授業があるので、平日は全くの自由です。

息子は中学、高校と挫折したので、大学受験は頑張るつもりで塾の授業と自習とに励んでいました。しかし、1年生の3学期頃から意欲が失速し始め、2年生になっても3年生になってもやる気が回復しませんでした。やる気が失速しても行っていた塾の授業にさえ、最終的になかなか行けない状態になってしまいました。

ゲームをして将来を考えてないように見えた息子。不安と心配でつい口うるさくいってしまった

勉強しない間、ほとんど部屋でゲームの毎日です。当然親である私は、不安と心配で頭に血が上ります。息子にきつい言葉を投げてしまっていました。それでも私なりに、塾の先生のご指導や、教育関係の雑誌や本、知人のアドバイス等でどうしたら息子のやる気をだせるのか模索していました。最も多いアドバイスは、「親が口を出さないように。とにかく本人にその気が起きなければどうしようもないので、見守ってやること。」ということでした。

できるだけ見守るように心掛け、あまり踏み込まないように気を付けました。それでも何かしら参考になりそうな言葉や新聞記事を見つけたら、息子にさりげなく紹介したりしていました。息子は元来おっとりして穏やかな性格なので、時にうるさげにすることはあっても、私の言葉を聞いてくれました。

息子自身の不安に寄り添い原因を一緒に調べる中で息子との絆も深まった

それでも息子のやる気は回復せず、高校3年の夏になっても、ほとんどの科目で教科書レベルさえ習得できていないという有様だったのです。私は、息子が底なしに落ちて行ってしまうような恐怖で一杯でした。高3の時点では、私には何をどうすればよいか見当がつかなくなっていました。

とうとう高3の夏ごろ、息子が「不安で不安でどうしようもなくなる。」と訴えてきたのです。受験勉強をしようとすればするほど頭が空回りし、計画は全く進みませんでした。勉強できない自分への苛立ちと焦りの嵐の中で、机の前にじっと座ることさえできませんでした。息子はおかしくなりそうな自分をどうしてよいかわからないと言いました。

息子と私は、勉強は少し置いて、どういう状態なのか、どうしたらよいのか調べて勉強する事にしました。息子が参考になりそうな本を片っ端から買ったり借りたりして、二人で読み漁りました。その中で、息子が「これに自分はとてもあてはまる」と言ったのが、「HSP(highly sensitive persons 敏感すぎる人々)」という概念でした。息子には「あまり敏感でない人」に比べて、不安や否定的な感情に支配されやすく、他人に対して警戒心を持ちやすい為に心を開きにくい等の性質が強いらしいとわかりました。

この概念のお陰で、息子が受験に頑張れない状況を整理分析してとらえることができるようになったのです。このHSP概念に出会えたことは、非常に大きな成果でした。その最も大きなものは、息子がわたしに対して信頼感を持ち始めてくれたということです。

自分の不安を息子に押し付けるのではなく同じく不安を抱える息子と共有し一緒に立ち向かう

私が良かれと思い、やる気が出るように声掛けしたり叱ったり、切り抜きを見せたりしたことは、ほとんど息子の心に寄り添っておらず、逆に「お母さんはわかってくれない」と思わせていました。息子は彼なりに状況を把握しており、できない自分と格闘しながらなんとか立ち向かおうとしていました。私はそれをあまり理解していなかったのです。

HSP知識を深めていく過程で、息子は、自分と私が同じ感覚を共有していると感じたようです。それが私への安心感や信頼感につながったようでした。私にとっては、息子が信頼感を持ってくれたことが何よりの収穫だったと思います。今はまだ、息子が受験に向かう精神的心理的な態勢はできていません。が、少しずつ息子なりの対処法を掴み始めた気がします。

子供と協力し、親子で共同作業で問題を解決していく大切さ

子供が勉強しないのには、様々なケースがあることでしょう。勉強の時期が来ていないのかもしれません。
目標が不明確で覚悟ができていないのかもしれません。あるいは我が家のように、何かしらどこかでつまずいて身動きできないのかもしれません。なぜ勉強しないのか、子供は理由を言わないでしょう。大抵は子供は理由を自覚していないと思われます。

親はどうしたらよいのか。はっきり言って、親の側だけからは問題点は見えません。子供の協力が必要です。私のケースから、見守ることは大切ですが、もしも何かにつまずいている場合には、早めに対処することをお勧めします。
子供が安心感と信頼感を持てる親子関係を築くこと。親が子供の心に寄り添っていることを、子供が感じられること。勉強や受験について子供が考えを言えること。

自分を振り返ってみて、難しいことだと思います。しかし、これらは勉強や受験の対策にとどまらず、親子関係全般に重要なことではないでしょうか。その上に立って、親子で問題を解きほぐし、解決策を親子で考えていく、その親子での共同作業が大切なように思います。